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映画『大佛廻国』のことを、わたくしなりに [1]

本年は、フィルムが現存していないと思われる、戦前の特撮映画の話からスタートです。

『大佛廻国』(1934 = 昭和9)

タイトルが、『大佛廻国 中京篇』になっている資料も。
名古屋・大須 世界館で、9月14日公開。
大阪・大阪敷島倶楽部で、10月5日公開。
関東など、他の地方での上映記録は不詳。先斗町の芸妓が出演しているので、京都では公開された可能性あり。
いずれも短期の公開で、各地を巡回上映したと思われる。

J.O.トーキー
モノクロ・パートカラー
75分 ? 9巻・2,057メートル。

制作:大佛映画製作所
原作:大佛映画製作所
監督:枝正義郎
(指揮:枝正 監督:勝見庸太郎になっている資料や、勝見と村越章二郎の共同監督になっている資料も)
撮影:町井春美
(山中虎男になっている資料も)
カラー撮影:安藤春蔵
録音:松井晴継
美術(セット):西七郎
音楽:松平信博
出演:石川秀道 小島一代 志賀迺家淡海と一座 (特別出演)
廓連・浪越連・吾妻連・美遊喜連の名妓 京都先斗町の名妓

愛知県知多半島にある聚楽園 (現在は東海市) に実在する、座して六十二尺立ち上がって百十尺 (約33メートル) の大仏が、 「入魂立座の祈願に応じて立ち上がり」、
愛知県内の名所旧跡を訪ねて廻るという、中部日本縦断ロケの仏教&観光PR映画。
篇中には、志賀廼屋淡海の有名な淡海節をはじめ「民謡や新小唄をふんだんに挿入」。
新聞広告の惹句には「名古屋が生んだ 奇想天外驚異的の大スペクタクル映画」とある。

前年公開のアメリカ映画『キング・コング』大ヒットに触発され、野心的な製作者の立石駒吉 (生没年不詳。帝国キネマにいたが生粋の映画人ではなく、利権に目を付け介入してきた。企業乗っ取りや仕手相場などに顔を出す右翼筋の総会屋、いわゆる政治ゴロ上がりである。アゴひげを生やした六尺の大男。明治期より暗躍、著書もある) が資金を調達、独立プロを立ち上げスタッフを集めて制作したトリック = 特撮見世物映画でもあった。
キャメラマン出身で日本特撮のパイオニアである、枝正義郎 (1888 - 1944) が監督。

なお聚楽園は、守口漬を考案したことでも知られる岐阜出身の実業家・山田才吉 (1852 - 1937) が開園した観光施設。
大正天皇御大典事業として、敷地内に鉄筋コンクリート製の大仏を建立した。
1927年に完成、開眼供養。
缶詰事業などでも成功し富裕な山田だが、すでに80代。立石の口車に乗り大仏の映画出演を許可するばかりでなく、多額の資金援助をしたのではないか。
山田の死後、大仏の所有者は何度か変わりながら現在に至り、塗り直されて現存。聚楽園は東海市が管理する公園になっている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%9A%E6%A5
%BD%E5%9C%92%E5%85%AC%E5%9C%92


「キネマ旬報」(1934年11月1日号) によれば、
「或は汽車をまたぎ、或は掌の上で芸妓を踊らせ、或は三階の家屋を枕に寝る」
「大仏は昇天し、瑞雲に包まれ五彩の花片に飾られて東京に行かれる」
といった、円谷英二の師でもある枝正が手掛けたと思われる特撮シーンや、
テクニカラー方式で撮影された「死んだ薄幸の娘の魂は極楽へ。不信心者は地獄へ」の地獄・極楽シーンがあるという。
だが、特撮・音響・カラー撮影ともに批評は芳しくない。

本作の宣伝に一役買っていたらしい、名古屋の地元紙 (但し批評は、映画の興行的価値を認めながらも、「トリック = 特撮は幼稚」「逆時代的なスペクタクル」「寓意も主張も低俗でナンセンス」と書いている) の記述が真実ならば。
御当地映画ゆえ、この頃 名古屋随一の盛り場だった大須での単館上映 (併映作品があった。市川右太衛門の新作で 中川信夫脚本 古野英治監督『鳴平旅ごろも』と、8月に封切られた岡譲二主演 野村芳亭監督『利根の朝霧』の再映) は大ヒット。
他都市でも同様の興収があったなら、大仏が向かった地が舞台の『関東篇』が制作されたに違いないが、実現しなかった

この映画については、1970年代後半までの日本特撮を総覧した名著「大特撮」(1979.1 有文社) にも簡単な紹介が載っていたが、タイトル名もゴチックになっておらず、気付きにくい。
わたくしが改めて知ったのは、スージー・アラビア氏のサイト「映画人外魔境 笑うな危険 ! / 発掘 ! 世界の怪獣映画」。
http://eigajingaimakyo.web.fc2.com/
「キネ旬」に掲載された、イラストの大仏と写真をコラージュしたスチルも紹介。上記の文は、そこから引用したものに大幅加筆させてもらった。現在、閲覧出来ない状態なのは残念。
昨年刊行された高槻真樹「戦前日本SF映画創世記 ゴジラは何でできているか」(2014.3 河出書房新社) が本作を大きく取り上げたことで、わたくしは改めて興味を持った次第だが、この本の記述は真鍋新一「日本怪獣映画前史」(2010 ? 山根研究室、『和製キングコング』『大佛廻国』『江戸に現れたキングコング』を紹介) という同人誌から多くを採っているようだ。
さらに、同人誌に載っているらしい公開当時の新聞掲載の特撮場面スチルは再録されておらず、非常にストレスが残る。
この同人誌を入手すれば、わたくしが自分で まとめなくても良かったのだろうが、オークションにも出回っていない様子。
そこで昨年、図書館に出向き「新愛知」「名古屋新聞」などの『大佛廻国』記事をコピーした。

以下の投稿は、それとネット上にあった資料写真を自分なりに紹介するモノである。

同人誌「日本怪獣映画前史」は、凄く読んでみたいです。
お持ちの方で、「適価で譲っても良い、コピーしても良い」という方は連絡下さい。

| 今週のわたくし2015 SUBCULTURE DIARY 2015 | 06:58 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP
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