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夏休み特撮大会 [3] 『ゴッドファーザー』の、モー・グリーン射殺カット
6月から7月にかけ、Eテレでやった映画技術講義『ハリウッド白熱教室』全5回を面白く観た。
毎回、アメリカ映画の名場面が教材として引用されるのだが、「編集」の回で『ゴッドファーザー』(1972) の、カジノ経営で儲けてるモー・グリーンが射殺されるカットを久しぶりに観て、「この仕掛けは どうなってるのか ?」と しばらく考える。

サウナで うつ伏せになり、マッサージを受けている黒縁メガネの男モー・グリーン (演じているのは、若い頃マサチューセッツでホントにギャングだったアレックス・ロッコ。『絞殺魔』『フリービーとビーン大乱戦』『ゲット・ショーティ』)。
侵入者に驚き、外していたメガネをかけ見上げると、イキナリ右目をレンズ越しに撃たれる。
ヒビが入るメガネ、ダラダラと流れ出る血。即死だ。

これがワンカット。
…ワカラン !

何故って ? CGが無かった時代である。
アニメ合成でレンズにヒビを入れてるようには見えない。
撃たれる直前に役者に動きを止めさせキャメラも止め、ヒビ入りメガネに変えて撮影再開したようにも見えぬ。
全てはスムーズなワンカットだ。

ネット上では、「ツルに仕込んだ細いチューブから送った圧縮空気でレンズにヒビを入れ、さらに血も流したのだろう」と書いてる人も あったが、モー・グリーンは「傍らに外して置いてあったメガネをかける」動作を しているのだ。
チューブじゃないと思うなぁ。
メガネのツルは確かに太いが、血糊も含め そんなに仕込めるものなのか。
血糊については、頭髪に仕込んだチューブから流していたとしても…レンズのヒビは ?
イロイロ納得いかないぞ。
小粒だが、世界映画史に残る特殊効果と思う。

このグレートな場面は、A・D・フラワーズ (1917 - 2001) という特殊効果マン…特殊メイクのディック・スミスも協力したと思われる…が担当した。
「手品の種」っぽいコトなのかも知れないけど、誰か仕掛けを教えてくれませんか ?

IMDbによれば、フラワーズは最初から特殊効果畑だったのではなく、映画セットのグリーンマン (植物の植え込みをする職種か) として『オズの魔法使』『禁断の惑星』などMGM作品に参加していた。
下積みのうちに、いろんな危険物関連免許を取り修業を積んでいたのだろう。
40代になって、『コンバット』『特攻ギャリソン・ゴリラ』などの人気テレビシリーズで戦闘シーンの特殊効果を担当。
当然一人では出来ないから、彼はチームのヘッドという立場になっていたはずだ。

映画でクレジットされたのは、1969年のウディ・アレン監督・主演作『泥棒野郎』から らしい。
その翌年にイキナリ、20世紀フォックスの戦争映画超大作『トラ・トラ・トラ !』のメカニカル特殊効果でL・B・アボット (共にオープニングでクレジットされた、アート・クルックシャンクは何故か除外) とアカデミー特殊視覚効果賞を受賞。一線に躍り出る。

アボット (1908 - 85、名入りで受けたオスカーだけで5個という有名特撮マン。左の人) とのコンビ作が多い印象を受けるが、やはり特別賞としてオスカー視覚効果賞を受けたディザスター大作『ポセイドン・アドベンチャー』と、賞は受けていないが『タワーリング・インフェルノ』が目立つ為だろう。

華々しい活躍期間は10年ほど。
『リオ・ロボ』『少年は虹を渡る』『スリーパー』『デリンジャー』などにも参加。
1979年の2大作『地獄の黙示録』『1941』のあとは、2001年に亡くなるまでリタイア状態だった。

自伝の類は残していないらしい。
ある意味、謎の多い人物ではある。

※追記...三一十さんからコメントを頂いたので、再見してみたけれど。
「全てはスムーズなワンカット」ではなく、「傍らに外して置いてあったメガネを手に取るところと、かける所はカットが違う」んですね〜 !

先日 観たときは、マッタク気が付きませんでした。
これだったら仕掛け入りメガネに変えられるし、キャメラから見えない左側のツルの方からチューブなどで操作出来るわけです。
ちょっとだけ (仕掛けが見えたような気がして) 安心しました (笑)。

レンズ越しに撃たれる右目ですが、コマを送ってみると、ヒビが入った瞬間に閉じているのが数コマ (わたくしには) 見えます。
アレックス・ロッコの顔面保護にも気を遣ったでしょうが、レンズを2重構造にし、たとえ飴ガラスのような素材であっても破片が決して目に入らないよう工夫していたのではないかと…。

ともあれ わたくし的に、コレが「グレートな場面 & 特殊効果」であることは変わりありません。
| 洋画貼雑帖 FOLDER OF FOREIGN MOVIES | 09:52 | comments(3) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP
コメント
ディック・スミスが得意とした顔面弾着の応用でしょう。メガネのレンズはツルから撃ち出したベアリングボールで破損させたと思われます。
この際、俳優の目とその周囲はラテックスの特殊メイクが保護しており、顔面弾着の要領で、レンズが砕けると同時に「カロの血」と呼ばれるコーンスターチ製の血糊を噴出させたのでしょう。
顔面弾着用の特殊メイクが出血のギミックと俳優の顔面保護の二役に兼用されたと私は考えます。
| 三一十四四二三 | 2013/08/10 11:43 AM |
再見しました。
「全てはスムーズなワンカット」ではなく、「傍らに外して置いてあったメガネを手に取るところと、かける所はカットが違う」んですね〜 !
先日 観たときはマッタク気が付きませんでした。
これだったら仕掛け入りメガネに変えられるし、左側のツルの方からチューブなどで操作出来るわけです。
ちょっとだけ (仕掛けが見えたような気がして) 安心しました (笑)。

レンズ越しに撃たれる右目ですが、コマで送ってみると、ヒビが入った瞬間に閉じているのが数コマ (わたくしには) 見えます。
アレックス・ロッコの顔面保護にも気を遣ったでしょうが、レンズを2重構造にし、飴ガラスのような素材であっても破片が決して目に入らないよう工夫していたのではないかと…。

ともあれ、このカットがグレートな特殊効果であることは変わりません。

関連して、『サンゲリア』で眼球に折れた木の先端がグサ〜ッ…という特殊メイク効果も思い出しましたね。
こっちは、あまり再見する気に なれません。
| J・KOYAMA | 2013/08/11 2:19 PM |
前面のガラスに弾痕が開いて、後方の人間に弾着が連動するという特殊効果は「ブリット」などでも見られましたから、60年代後半にはそれなりの技術があったようですね。
ハーラン・リーボの「ザ・ゴッドファーザー」というメイキング本には、このシーンの技術解説はないのですが「コッポラが砕け散るための新品のメガネを買うことになった」という記載があります。
また、コッポラはこのシーンを「吐き気がする」と言っていたようです。
| 三一十四四二三 | 2013/08/11 3:30 PM |
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