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『世にも怪奇な物語』とマリーナ・ヤールの末裔 [2]
『世にも怪奇な物語』の3話、フェデリコ・フェリーニ監督「悪魔の首飾り」は、こんな話である。

キネマ旬報映画データベースより引用、改行・加筆。
http://www.kinejun.jp/cinema/%E4%B8%96%E3%81%AB%E3%82%82%E6%80%AA%E5%A5%87%E3%81%AA%E7%89%A9%E8%AA%9E

『吸血鬼ゴケミドロ』(1968年の松竹映画) 冒頭シーンを思わせる、毒々しいオレンジ色の夕空。
旅客機が着陸態勢に入る。

青白い顔のトビー・ダミット (テレンス・スタンプ) は、イギリスの俳優。
かつては華々しい名声と賞讃につつまれていたが、アルコール中毒が祟り、ここ1年ばかりは仕事もなく、落ち目だった。
そんな彼にイタリアから、新車のフェラーリ付きで、聖書に材を取った「西部劇」出演の話 (この映画の製作当時、イタリアで量産されていたマカロニウエスタンやスパイ映画に、ハリウッドなどで人気が無くなったスターが“ハクを付けるべく”大勢 招かれていた状況を皮肉っているのだろう。劇中、トーマス・ミリアンのスタントをしていたという男も登場する) が舞い込む。
彼は早速、ローマに飛んできたというわけだ。

…このあたりの状況は、徐々に判ってくるのだが、とりあえず。

オレンジ色に染まる空港でリポーターやカメラマンの直撃取材、車で移動してテレビのインタビュー。
ある受賞式にゲストとして出席。
「マクベス」の台詞を引用してスピーチしたまでは良かったが、見知らぬ人々と退廃的な雰囲気の中でトビーは疲れ、得体の知れない不安から、酒を呑み続けた。
空港で見た、白いボールを持った少女の幻影が また浮かぶ。

彼は、逃げるように会場を出ると、報酬である金色のフェラーリに飛び乗り、ただひたすら、車を走らせた。

シュールな、夜の彷徨シーンが素晴らしい。
一瞬、『メリー・ポピンズ』のポスターが。
街角に羊の群れ ? 剥製だろうか。
そして、いつの間にか道に迷い、夜霧のハイウェイを走っていた。

突如、視界に現れた通行止めの柵に急ブレーキをかけたトビーは、突き破って停まる。
沿道の家の男が物音に顔を出し、先の橋が落ちてハイウェイは途切れているという。
確かに闇の中、深淵が口を開けていた。
トビーはその時、夜霧のたち込める落ちた橋の「向こう側」に、白いボールを持つ少女を見た。

そして それは、甘美な死の世界に招いているようだった。
彼は猛烈なスピードで、その少女の方へフェラーリを加速した…。

落ちた橋、ハイウェイ橋脚の断面に浮かんだドクロのような染みが、夜明けとともに消えてゆく視覚効果が秀逸。

担当は、ジョセフ・ネイサンソン (1909 - 2003)。
何でも こなす東欧出身の特撮マンで、1980年代中盤まで主にイタリアで活躍した。
大作『赤い靴』『トロイのヘレン』『クレオパトラ』にマットアートで協力 (ノークレジット) しているほか、『巨大なる戦場』『紳士泥棒大ゴールデン作戦』にも参加。

なお本作には、サルヴォ・ランドーネ (聖職者 = スパニャ神父、実は映画製作者)、アンヌ・トニエッティ (TVコメンテーター)、イリナ・マレーヴァ (路上でトビーに声をかける女占い師)、ファブリツィオ・アンジェリ、エルネスト・コリ (マネッティ兄弟 = 監督) ほかが共演している。

「悪魔の」少女が持つ白いボール。
トビーがイギリス俳優ということで、当時 話題となった英国製TVドラマ『プリズナー No.6』(1967 日本では、1969年にNHKで初放送) の、“バルーン”のイメージも入っているかも知れないが…。

ご存じの方も お有りでしょう。
この少女 (とボール) には、「映画的記憶」の“遺伝 (パクリとは言わない)”と、更なる“インスパイアとオマージュ”の歴史があったのです。
この後、自分なりに図版を引用して辿ってみますが、その前に。

※ 『世にも怪奇な物語』のフランス・イタリア公開は1968年だが、日本公開は1969年夏。
1968年夏公開の『吸血鬼ゴケミドロ』冒頭、毒々しい夕空を飛ぶ旅客機シークエンスが“影響”を受けている可能性は無さそうだ。
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