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伊丹十三の猫好き
今年2月にNHKBSプレミアムで、俳優・映画監督・エッセイストなど多才で知られた 伊丹十三 (1933 - 1997) のドキュメンタリーや再現ドラマをやっていた。
CS局でも『13の顔を持つ男』(2007) というドキュメンタリーを観る。

「自殺」と結論づけられた、マンションからの「墜死」を遂げて以来 約15年。
今も噂が囁かれる死の「真相究明」や、愛妻・宮本信子は2度目の奥さん なんだよ…という辺りはボカしてあるんで、ディープな評伝には成り得ていないが、本人録画という貴重なテレビ出演番組VTRの紹介は見応えがあった。
8月には、ナビゲーターを務めた番組『天皇の世紀』(1973 - 74) も お蔵出しオンエアされるらしい。

観ていて ちょっとビックリしたのは、伊丹が かなりの猫好きだったということだ。

もし そうなら、フィルモグラフィーにも その片鱗が見えていたと思うけど…。
そりゃあ、監督デビュー作『お葬式』(1984) には江戸家猫八が出てたけどさ、他の映画は ?
市川崑『吾輩は猫である』(1975) で伊丹は迷亭役だったけど、「猫好き」という感じは しなかったぞ。
当時からテレビで演出家指向はあったんだし、言うことを聞かない“猫役者”の指導を買って出た…くらいの逸話があって良さそうなものだが。

検索すると、愛媛・松山の伊丹十三記念館には「猫好き」のコーナーが設けてあるそうだ。

HPに伊丹のエッセイも引用されている。
http://itami-kinenkan.jp/exhi10.html

「どうして猫が好きなの?」と、いわれても、それは困る。
私が猫を好きなのは、なにか理由があってその結果好きだというのではない。理由などあれこれ考えるより以前に、すでに好きだという事実が厳存しているのであって、いわば好きだから好きだ、とでもいうよりしようがなかろう。

私は、猫のあの凛としたところと、あの救い難い無知みたいなところ、両方好きなのですね。

そもそも私は生まれた時から猫と共に暮らしてきた。
私の過ぎ去った人生を振り返ってみても、周囲に猫のいない時期というのが殆どない。
各各の時期が、ああ、あれはあの猫の時分、ああ、あれはこの猫の時分という工合に、様様な猫たちのだれかれと直ちに一致する。
実に、私において、猫のいない人生は考えることもできぬのである。

              以上すべて、伊丹十三「再び女たちよ !」(1972) より

さらに、猫画。

あぁ、そうだったのか…疑ってスマン、知らなかったよ。
ウチに伊丹の本は、ポケット文春版「ヨーロッパ退屈日記」(1965) しか無いんだもん。
それに、ウィキにも書いてなかったし (笑)。

わたくしは、伊丹が「自殺」した理由について、「映画題材探しの行き詰まり説」を採っていた。
キャッチーなテーマとタイトル (あげまん !) 選出、娯楽と社会性とエロ味、観客にモノを教えてやろう (ラーメン、税務署、病院、スーパー etc.) 的スタイルに、限界が見えていたから。
加えて、興収と批評も低迷していたし、後続異業種監督 (北野武ほか) の躍進・海外での高評価も、スノッブで癖はあるがマルチな才能で売ってきた伊丹を追いつめていたのかもしれない。
『マルサの女』2部作までは、海外に進出して成功出来る手応えも感じていたはずだから。

主演女優も時には替え、一回アート系か、逆に自分が心底好きな題材で映画を撮りゃあ壁は乗り越えられたかも。
繰り返すけど、そんなにも好きな猫 (広義で言えばペット) を題材にした作品を作らなかったのは、何故なのかね ?

あと、小林信彦 (映画好きの作家だが、伊丹の仕事には関心が なかったという) が自分の経験と照らし合わせ書いていた、年齢 (64歳) から来る「ウツ状態による発作的な飛び降り説」も真実味があった。
「実際」が どうだったかは知らないが…。

1997年12月20日。
「コト」の一部始終を、現場である東京・港区麻布台三丁目のマンション近辺に住む猫たちは「見ていた」のかも知れないな。

NHKは、伊丹が「自殺」の5日前まで医療廃棄物問題の取材を続けていたということを明らかにしたドキュメンタリー『伊丹十三が見た医療廃棄物の闇〜病院の裏側を追った伊丹監督最後の3カ月間』(1998.3) も“お蔵出し”するように !
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