タイトル画像 番外地 TOPへ
since 2005,   renewal 2009     logo

<< 『エイリアン』前史では なかった、映画『プロメテウス』 [2] | TOP | 『二人の息子』を観ながら、田浦正巳について考えた [2 完] >>

『二人の息子』を観ながら、田浦正巳について考えた [1]
日本映画専門チャンネルで観る。

ラリーの場面で懐かしい名古屋市内の風景も写る、楽しい『ゴー ! ゴー ! 若大将』(1967.12 東宝ほか) の後に観たのがマズかったか、同じ加山雄三主演作でも、千葉泰樹監督『二人の息子』(1961.11 東宝) にはズシンと来た。

早送りでチェックしたときは、エリート兄・宝田明とダメ弟・加山雄三の葛藤と和解を描いただけの作品と思ったが…。

ネット上には秀逸な紹介文が幾つかあるけれど、わたくしは本作を「木下恵介の問題作『日本の悲劇』(1953 松竹) を、弟子の松山善三が彼なりにリビルド…シナリオ化した作品であろう」と考えた。

2012年3月、松山善三 近影。
2010年暮れに亡くなった妻、「高峰秀子さんを偲ぶ会」にて。

まぁ、我が国には主人公に不幸が次々と降りかかる、純然たるお涙頂戴映画の系譜もあるわけで。
職人・千葉監督による この作品も、その流れの産物 (悲惨な状況を お見せして、観客に「ああは なりたくない、ウチは良かった」と思わせる、商売としての映画) という気もするけれど。
公開当時、日本の高度経済成長は始まる直前だった。

さて。
『二人の息子』では、ひとつ歯車が狂った一家を「これでもか」と襲う“不幸の連鎖”が描かれる。
宝田と加山の母親を演じているのが、『日本の悲劇』で主演した望月優子だからか ?
どんどん堕ちてゆく…“第2の人生”で勤めた職場なのに、意地張ってケンカし失職する…父親役の藤原釜足も、ちっとは考えなきゃ (笑)。

海辺の団地で美人妻・白川由美 (水商売上がりだったので、かつて学校の校長だった藤原に結婚を反対された経緯があり、疎遠になっているという設定) と暮らす一流会社勤務の兄・宝田。
娘の坂部紀子を もうけて、幸せそうだ。

一方、今はボロ屋住まいの父母と暮らすタクシー運転手の弟・加山の下には、ドライだが美人の妹・藤山陽子がいて、宝田の勤める会社に入れてもらいエレベーターガールをしている。

彼女を好いている、夜学通いの しがないボイラーマン青年は、センの細い田浦正巳。
宝田は「あんなヤツと話すな」とクギを刺す。
藤山にチャンスが訪れ秘書室勤務になり、有力な上司の小泉博と付き合うようになったため、疎外された田浦はストーカー状態に。
ある夜、思い詰めた彼は夜道で藤山をナイフで殺そうとするが、逃げた彼女は電車に轢かれ死んでしまう。

田浦の「その後」は、映画では描写されない。

実は、この直前にも「鉄道がらみの衝撃シーン」があったばかりなので、滅入る滅入る。
望月と田浦が『日本の悲劇』で母子を演じてたことをお忘れなく !
望月が鉄道自殺する、あの映画のラストも思い出して !!
| 邦画貼雑帖 FOLDER OF JAPANESE MOVIES | 23:58 | comments(1) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP
コメント
本作を見ていて小津安二郎監督の(東京暮色)を想い出した…。そこでは有馬稲子が思い詰めて踏み切りに飛び込んで電車に跳ねられるシーンがあったから。木下恵介監督の日本の悲劇がベースにあったというレビュー参考になりました。生卵を巡る大騒動は寅さんみたいで笑いつつ泣かされます
| PineWood | 2016/04/13 8:22 PM |
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.koyama.mond.jp/trackback/873191
トラックバック