2012.06.29 Friday
日本映画専門チャンネルで観る。
ラリーの場面で懐かしい名古屋市内の風景も写る、楽しい『ゴー ! ゴー ! 若大将』(1967.12 東宝ほか) の後に観たのがマズかったか、同じ加山雄三主演作でも、千葉泰樹監督『二人の息子』(1961.11 東宝) にはズシンと来た。
早送りでチェックしたときは、エリート兄・宝田明とダメ弟・加山雄三の葛藤と和解を描いただけの作品と思ったが…。
ネット上には秀逸な紹介文が幾つかあるけれど、わたくしは本作を「木下恵介の問題作『日本の悲劇』(1953 松竹) を、弟子の松山善三が彼なりにリビルド…シナリオ化した作品であろう」と考えた。
2012年3月、松山善三 近影。
2010年暮れに亡くなった妻、「高峰秀子さんを偲ぶ会」にて。
まぁ、我が国には主人公に不幸が次々と降りかかる、純然たるお涙頂戴映画の系譜もあるわけで。
職人・千葉監督による この作品も、その流れの産物 (悲惨な状況を お見せして、観客に「ああは なりたくない、ウチは良かった」と思わせる、商売としての映画) という気もするけれど。
公開当時、日本の高度経済成長は始まる直前だった。
さて。
『二人の息子』では、ひとつ歯車が狂った一家を「これでもか」と襲う“不幸の連鎖”が描かれる。
宝田と加山の母親を演じているのが、『日本の悲劇』で主演した望月優子だからか ?
どんどん堕ちてゆく…“第2の人生”で勤めた職場なのに、意地張ってケンカし失職する…父親役の藤原釜足も、ちっとは考えなきゃ (笑)。
海辺の団地で美人妻・白川由美 (水商売上がりだったので、かつて学校の校長だった藤原に結婚を反対された経緯があり、疎遠になっているという設定) と暮らす一流会社勤務の兄・宝田。
娘の坂部紀子を もうけて、幸せそうだ。
一方、今はボロ屋住まいの父母と暮らすタクシー運転手の弟・加山の下には、ドライだが美人の妹・藤山陽子がいて、宝田の勤める会社に入れてもらいエレベーターガールをしている。
彼女を好いている、夜学通いの しがないボイラーマン青年は、センの細い田浦正巳。
宝田は「あんなヤツと話すな」とクギを刺す。
藤山にチャンスが訪れ秘書室勤務になり、有力な上司の小泉博と付き合うようになったため、疎外された田浦はストーカー状態に。
ある夜、思い詰めた彼は夜道で藤山をナイフで殺そうとするが、逃げた彼女は電車に轢かれ死んでしまう。
田浦の「その後」は、映画では描写されない。
実は、この直前にも「鉄道がらみの衝撃シーン」があったばかりなので、滅入る滅入る。
望月と田浦が『日本の悲劇』で母子を演じてたことをお忘れなく !
望月が鉄道自殺する、あの映画のラストも思い出して !!
ラリーの場面で懐かしい名古屋市内の風景も写る、楽しい『ゴー ! ゴー ! 若大将』(1967.12 東宝ほか) の後に観たのがマズかったか、同じ加山雄三主演作でも、千葉泰樹監督『二人の息子』(1961.11 東宝) にはズシンと来た。
早送りでチェックしたときは、エリート兄・宝田明とダメ弟・加山雄三の葛藤と和解を描いただけの作品と思ったが…。
ネット上には秀逸な紹介文が幾つかあるけれど、わたくしは本作を「木下恵介の問題作『日本の悲劇』(1953 松竹) を、弟子の松山善三が彼なりにリビルド…シナリオ化した作品であろう」と考えた。
2012年3月、松山善三 近影。
2010年暮れに亡くなった妻、「高峰秀子さんを偲ぶ会」にて。
まぁ、我が国には主人公に不幸が次々と降りかかる、純然たるお涙頂戴映画の系譜もあるわけで。
職人・千葉監督による この作品も、その流れの産物 (悲惨な状況を お見せして、観客に「ああは なりたくない、ウチは良かった」と思わせる、商売としての映画) という気もするけれど。
公開当時、日本の高度経済成長は始まる直前だった。
さて。
『二人の息子』では、ひとつ歯車が狂った一家を「これでもか」と襲う“不幸の連鎖”が描かれる。
宝田と加山の母親を演じているのが、『日本の悲劇』で主演した望月優子だからか ?
どんどん堕ちてゆく…“第2の人生”で勤めた職場なのに、意地張ってケンカし失職する…父親役の藤原釜足も、ちっとは考えなきゃ (笑)。
海辺の団地で美人妻・白川由美 (水商売上がりだったので、かつて学校の校長だった藤原に結婚を反対された経緯があり、疎遠になっているという設定) と暮らす一流会社勤務の兄・宝田。
娘の坂部紀子を もうけて、幸せそうだ。
一方、今はボロ屋住まいの父母と暮らすタクシー運転手の弟・加山の下には、ドライだが美人の妹・藤山陽子がいて、宝田の勤める会社に入れてもらいエレベーターガールをしている。
彼女を好いている、夜学通いの しがないボイラーマン青年は、センの細い田浦正巳。
宝田は「あんなヤツと話すな」とクギを刺す。
藤山にチャンスが訪れ秘書室勤務になり、有力な上司の小泉博と付き合うようになったため、疎外された田浦はストーカー状態に。
ある夜、思い詰めた彼は夜道で藤山をナイフで殺そうとするが、逃げた彼女は電車に轢かれ死んでしまう。
田浦の「その後」は、映画では描写されない。
実は、この直前にも「鉄道がらみの衝撃シーン」があったばかりなので、滅入る滅入る。
望月と田浦が『日本の悲劇』で母子を演じてたことをお忘れなく !
望月が鉄道自殺する、あの映画のラストも思い出して !!