esme様からご教示いただき、YouTubeで失われたと思われていたモデルアニメ特撮短編映画 Along the Moonbeam Trail(月光跡に沿って 1920 アメリカ サイレント、音楽入り)を観た。
映画評論家レオナルド・マルティンのテキストによれば、各地に残る断片を寄せ集めたそうだが、完全版は無理で尻切れとはいえ復元の苦労が偲ばれる。
Along the… のストーリー。
「ロミオとジュリエット」の一節の引用から始まる。
月光の妖精?(それなりにキュートな女の子、役者不明)が森に降り立ち、キャンプしていたボーイスカウト風のおじさん(監督のドーリーが演じた)と2人の少年(ドーリーの息子たちが出演と書いた資料もあるが、苗字はデイになっている。後述する The Ghost of Slumber Mountain にも出演)が遭遇する。
妖精が用意した魔法の複葉機に乗り、3人は月に飛び立つ。タバコをふかす半月の周りを旋回するうち、月光の妖精たちのダンスを見たり、ホウキの魔女とすれ違う。天界の軍神は、複葉機と魔女がぶつからぬよう交通整理してくれた。
そこへ突如、舌をチロチロさせる巨大コウモリ翼竜が追ってきた。慌ててキリモミ降下で着陸し、洞窟に隠れる3人。先史時代の恐竜ステゴサウルス(やはり舌をチロチロ)が現れ、洞窟から観察。ステゴが去った後には、トラコドンとティラノサウルスの激闘が。終わった頃、妖精が迎えに来て…。
この10分ほどの特撮短編映画は、『キング・コング』の高名な特撮マンでモデルアニメーターのウィリス・H・オブライエン(1886〜1962)の初期作品 The Ghost of Slumber Mountain(眠り山の幽霊 1918、ドーリーが製作し出演も。オブライエンまで出演)のフッテージから流用された恐竜の映像を使ったと言われてきた。
ウィキにも書いてあるし、IMDbで監督はオブライエンとドーリー連名になっている。だが発見・復元された現物を観ると、まったく別のオリジナル作品と分かった。
『世界の一億年』(原題 Evolution、別題 Darwin's Theory of Evolution から 『ダーウィンの進化論』と紹介される場合もある) は、アニメで成功したマックス・フライシャーが、野心を持って文化映画に挑んだ40分強の短編だ。 アメリカ自然史博物館に監修を仰ぎ、ダーウィンの進化論を、生物の記録映像や様々な人種の映像、モデルアニメの恐竜や人類の祖先のリアルな復元彫刻も交え描く短篇である。
ウィキによれば『戦メリ』の原作は、イギリス在住の作家 ローレンス・ヴァン・デル・ポスト が日本軍捕虜になったときの体験を織り込んで書いた、3部構成の本「影の獄にて THE SEED AND THE SOWER」収録の2エピソードだという。 そのひとつ「影差す牢格子」は1954年に発表されたが、もう一つの「種子と蒔く者」は1963年に発表。同年、この作品を書名とし単行本になったらしい (女性が登場する、残り1つのエピソードは「剣と人形」)。
本国でも評判になったろう。 その翌年の1964年、ハマー・フィルムは THE CAMP ON BLOOD ISLAND の続編を何と6年ぶりに制作、公開した。 その名も クエンティン・ローレンス監督 (テレビ畑の人らしい) の、THE SECRET OF BLOOD ISLAND である。